共同生活援助事業所の新規立ち上げに伴う住民説明会

沖縄美ら海水族館の移動式水族館
県内の医療機関等からの要請で水族館を移動するサービス。基本的に無料で派遣している。

現在友人が立ち上げに向けて奔走している障害者向けの「共同生活援助事業所」(グループホーム)の第一回目の住民向け説明会にオブザーバーとして参加してきた。共同生活援助事業所とは障害者総合支援法の中で規定されている障害福祉サービスの一つで、障害を抱える利用者達がある一定の支援のもとで共同生活を営み、親元を離れ自立した生活を行う為の訓練を行う通称「グループホーム」とも呼ばれる。

県からの指定認可の内諾も取れ金融機関からの資金調達の目途もたち、後は実際に設計した通りに建築を開始する段階まで来てはいたが、住民説明会を開催した。自治体の認可を受ける前提には住民の賛同は求められることはなく、自らの土地に行政が進める障碍者の「地域移行」を幼少の時期からこのエリアで生まれ育ち、周辺住民へ「一応」の理解を求めるという意味での説明会の開催で、友人は地元の仲間達はいろいろと注文を付けるが最終的には同意して応援してくれると予想していた様子だった。

説明会には県への指定申請を進めてくれている行政書士と代表者である友人と施設の運営に携わる家族が参加し、色々と難題を付けつけられるとの予想はあったが、法律的に何ら譲歩する必要はなく、形式的に説明会を行い次のステップへ進む目論見だった。

その目論見は誤りであったことをすぐに知ることになる。

まずは年配の住民からの怒号で始まる。

「この会で反対の意を示したら事業は断念するのか。それとも形式的に住民の理解を取りましたと報告するために招集した形式上の会なのか。まずはそこにお答え頂きたい」

そう、住民たちは彼らの理解できないクリーチャーが集合するグループホームは危険な迷惑施設であり、建設を進めるのは断念してほしいという強い意志を持って説明会に参加していたのだ。

西暦1900年(明治33年)当時の精神病者監護法の施行下では得体のしれぬ精神病者は監禁することが半ば当然とされていた時代から120年以上経過し、現在は精神病者は障害者総合福祉法の下で福祉と人権のもと、他の健常者と同様に扱われ尊重される存在とされている現代においても、まだ一般的な人々は120年前の古いメンタリティの価値観に囚われて生きている人が大半を占めるという事を実感した事であった。

本来ならば、施設を作り障害者たちの居場所を作るという熱い意志を持った経営者がしっかりと時間を掛けて説得するべきなのだが、結局、狭いコミュニティの中での話し合いかつ、経営者自身の協力者たる家族達も同じようなメンタリティを持つモノが多く、近隣住民との摩擦の中で事業を継続するくらいならば白紙に戻そうということになった。

実際に現在運営中のグループホームの居住者の中には、過去30年に渡り住居とは呼べないヤギ小屋の中に放り込まれ、ろくな教育も受けず世間から隔離されて生活してきた利用者もおり、この地域の古い考え方がじっさいつい最近まで蔓延する「常識」であったことを感じる。

今回、家族と地域の反対の中で断念した共同生活援助事業所であったが、まだまだ秋があるなら利用したいと考えている潜在的な需要は高く、また、地域を変えてチャレンジしたいと考えている。


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