「大学という名のモンスター」 - 沖縄科学技術大学院大学 - OIST -



平成24年に沖縄県恩納村に沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Scince and Technology)という先端技術に特化した大学が開校しているのは報道等でご存知だと思います。沖縄県振興の目玉とも呼ぶべきハードで、大学建設時の費用は元より、毎年の運営費にも莫大な予算が注入されている。

先日、友人が来沖した際に立ち寄る機会があり初めて訪問したのだが、その規模とバカバカしい程に豪華なキャンパスに驚愕した。恩納村という沖縄屈指のリゾートエリアの高台に南シナ海を見下ろす立地に広大なキャンパスが広がる。

220ヘクタール(2,200,000平方メートル)の広大な敷地には巨大な研究棟に加え、大講堂、ドミトリー、恐らくは教授陣向けの戸建て住宅に学長公邸まで、近代的なデザインの建築物が整然と並ぶ。週末だったこともあり学内の人気はまばらだったが、出会う人は皆、外国人の方々だった。

OISTの居住エリアから東シナ海を望む

閑散としたアーケードにはおなじみのJimmy'sやジムがならぶ

コミュニティキッチン

大学の施設、しかも先端を謳う場所であればそれなりの設備は揃っていて然りなんだけども、何かがしっくりこない。その理由は明らかで、普通の大学にある賑いやら何やらが一切存在しないのだ。そう、これだけ金の掛かった施設、しかも立派な居住区域まで併設された場所なのに人の気配がまばらなのだ。

コミュニティキッチンの冷蔵庫には作りかけの食材等、生活を感じさせるモノは多少存在したけれども、絶対的な生活感が薄すぎる。一体、ここで暮らす人々は何をしているのだろうか?そもそもOISTなる化物並に予算を食いつぶす施設は一体何のために存在するのか。

知事、OIST拡充を首相に要請
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-10-05_54917

【東京】沖縄科学技術大学院大学(OIST)のジョナサン・ドーファン学長と仲井真弘多県知事は4日、首相官邸に安倍晋三首相を訪ね、沖縄の振興にOISTが重要であることを説明し、施設の拡充を要請した。
 冒頭のあいさつで、安倍氏は「沖縄を訪ねた時、素晴らしい教授陣と生徒の皆さんにお目にかかって、ここに日本の未来があると確信した。日本のイノベーションを進めていく上でOISTに期待することは大だ」と述べた。
 面談後、記者団の取材に応じたドーファン氏は「総理は300人体制の教員を確立させたいという私たちの目標に理解を示してくれた。OISTが日本の政策に貢献できるということをご理解いただいた」と説明。仲井真氏は「OISTは140万県民の誇り。世界最高水準を目指すため、総理にリーダーシップを取ってほしいと要請した」と述べた。
 今回の要請は、OISTの理事会開催でノーベル賞を受賞した学者らが来日しているのに合わせ、10月1日付で理事に就任した尾身幸次元財務相が設定した。
果たしてOISTは日本のイノベーション推進の原動力になりえるのだろうか?OISTが原動力となる場合の筑波学園都市の存在の意義はどうなるのだろう?なんだか腑に落ちない。

そもそも沖縄科学技術大学院大学とは何なのか?内閣府のページにその概要が記されています。

「沖縄科学技術大学院大学について」
http://www8.cao.go.jp/okinawa/4/49.html

沖縄科学技術大学院大学は、沖縄において世界最高水準の教育研究を行うことにより、
1)沖縄の振興と自立的発展 と
2)世界の科学技術の向上 に資することを目的としています。
※ 沖縄振興特別措置法に基づく沖縄振興計画の主要施策の一つに位置付けられています。
どうも本来の目的は沖縄県の振興を図る為のプロジェクトだそうです。沖縄振興には大量のお金が掛かるのは間違いのない事実なのですが。継続して沖縄科学技術大学院大学の設立による沖縄振興のシナリオと現状はウォッチしてゆく必要がありそうです。

OISTが推進する研究の一つを受け持つ柳田充弘教授が自身のブログでOISTに関する様々な問題提起をしています。OIST開校前のちょっと古いエントリですが、参考の為引用させて頂きます。


楽しかった結婚披露宴、とんでもない沖縄大学院大学の新学長の年収、大学院大学組織のイロハ
http://mitsuhiro.exblog.jp/17060709/

新学長の年収が6千万円というとんでもない法外な額については、明日に真剣に話題にしましよう。この新学長さんの年収は公開情報だし、文部省への設置許可を求める書類にも明記されているそうです。
さらにこの6千万に上乗せの金額もあるという噂で、日本全国で県民所得が最低の沖縄県に設置する日本国民の血税100%の大学でよくぞそんな、とんでもない法外な金額を与えると、いったいどこの誰が要求してどこの誰がそれ認めたのか、知らねばなりません。
さらにこう綴ります。

この大学院大学は私立です。わたくしも私立共済の保険証をもらえるはずですが、まだもらえていません。血税100%の大学がなぜ私立になれるのか、不思議ですが説明はできます。これもおいおい話題にしましょう。
それでこの血税100%私立大学の最高機関は理事会です。たぶん15人くらいで、これはホームページに出ています。ノーベル賞受賞者が何人もおられるので、神聖な人たちというかなかなか批判が難しい機関です。ともあれこの理事会の議長さんも決まっているようですが、さすがに学長さんは議長にはなれないとのことです。ですから、この機関も、学長と共に、厳しく客観的な目でみないと、沖縄大学院の根幹は真っ当なものにならない、というのがわたくしの持論です。 
 想定読者、軍事研究費導入議論に否定的でない新学長、そして新学長の兄弟、まず二つの提言
http://mitsuhiro.exblog.jp/17066168/

新学長の兄弟が、兄か弟か知りませんが、このキャンパスにひとりおられることを知る事となりました。最初のわたくしの反応は、ええ、まさか、なぜ、というものでした。いまの段階で知る事は、この実のブラザーが客員教授だということです。学長赴任時に実の兄弟を、教授会のメンバーに連れてくると言う話をかつて聞いたことがありません。実際、わたくしがなにか批判的発言をするとこのブラザーがいろいろと言い出すのでその時はこの人は誰?という感じでしたがあとで、実の兄弟と聞いて、絶句しました。
柳田氏が問題にしている「軍事研究をOISTで行い企業から予算を頂く」という方向については、自分的にはそれほど問題であるとは思えないのですが、そもそもその受け取った予算をどのように配分するかのイニシアチブをよくわからないどこぞの学長が采配しているという点は大いに問題だとは思う。

OISTについて、昨日現場を見て感じた違和感から色々掘り下げるとやはり出てくる。来週末にはOISTで研究員として働く人と飲む機会があるので、その辺りも含めて継続的に情報を取ってゆきます。

正義感とかイデオロギーとかではなく、単純に自分が納めた税金がどのように使われているのかに興味があるから。まぁ当たり前の事です。

Adios\(^o^)/

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