書評 - 「脳を活かす勉強法」- 茂木健一郎
僕は忙しくなったりやらねばならない事が増えてくると無性に本が読みたくなったりする。よくよく考えればこれはただの現実逃避であるわけだが、膨大な時間をかけて執筆したであろう筆者の魂の軌跡ともいうべき本の中にしばし没入し、その中に展開される想定の範囲内の考えから、想像の範疇を遥かに超えた刺激を見つける作業をずいぶん安いコストで体験できるようになったものだとひとりごちりつつ、ありがたくアウトプットさせて頂こうと思っている。
子供が生まれ日々少しずつ変化してゆく子供と触れ合う中で、まだ能動的に動くことのできない我が子に、どのような体験をさせるべきなのかという子育ての中にある教育方法は、体感的に理解はあるように思えるが、実際に、その理解が正しいものであるという確証はなく、様々な情報を漁っている中で、行き着くのはやはり書籍を読むという事にたどり着いた。
脳科学者としてメディアにも頻繁に露出しツイッターを始めとしたSNS界隈にも頻繁に登場する茂木健一郎さん。彼の肩書は理解しているが、一体どんな人なのかは全く知らなかったが、この著書に触れて色々な事が理解できた。
まず、彼は自分と同じく埼玉県の南部エリアの出身であるということだ。これは序章の高校受験のくだりの中で明らかにされている。実際、自分が通っていた中学校の区域でも、優秀な子息は浦和高校を目指して勉強をしていたものだった。
自分は決して勉強が得意ではなかったが、なんとなく周囲の雰囲気や環境の中で最低限の学習はできてきたのだなぁ、と最近は思うことも多いが、成績は常に学年の低位であった自分には浦和高校などは夢のまた夢だったと思い出す。
全章を通じて平易な言葉で茂木健一郎が体験し実証してきた勉強法を科学者らしく丁寧にわかりやすく分割し説いてくれている。脳の報酬系であるとされる「ドーパミン」という物質を分泌させるサイクルを回すことによって脳を強化するサイクルを回せるという。イチロー選手や松井秀喜選手などプロスポーツ界で活躍してきた選手たちも、もとを辿れば白紙の脳を持つ人間であり、一般人との差は、成長や進化を脳が喜びとして求め続ける、強化サイクルに乗れたか乗れなかったかの違いであるという。
脳はドーパミンの分泌という報酬を求めて、より強い成功体験を希求する。そして、その成功体験とその快感を理解できる人は、効率的にその強化サイクルを回して驚くくらいの成長を遂げることができるという。
「タイムプレッシャー」と「瞬間集中方式」によって、現代社会で細かく分断されている細切れの時間内でも集中すること、すぐにやることを意識することによって、より効果的に学ぶ事ができるという。負荷を与えれば与える程に人間の脳は成長するという。
全章を通じて「なるほど」と思いながら読了した。
自分も集中と時間軸を意識しながら日々をいきていきたいと思った。
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