満月の夜の幻想
満月の夜に久しぶりに二人きりで食事にでかけた。
君は精一杯のオシャレをしてきてくれた。
でかけたお店は評判通り多くのお客で賑わってる。
僕たちはお店の配慮なのか、すこしこじんまりとした半個室的なスペースに通されて、
周りを気にすることもなく、お互い正面に向き合いながらおいしい食事とおいしいお酒を頂いた。
一体何を話したかな。
明日は山を一緒に歩こうとお話した。
終始君は笑顔で僕も笑顔で。
何を話して何が楽しかったのかあまり覚えてないけど、
初めて二人きりで出かけた時と同じように、やはり楽しい。
君と僕はきっと気が合うお似合いのカップルなんじゃないかと
口元まで出かけた言葉は飲み込んだ。
お店を変えようと代行で目当てのお店に着く。
豊年祭の余韻なのかお店は貸し切りだった。
別のお店に移動して、
久々のお酒と楽しい時間で
満月の夜道を二人で歩いた。
立ち止まって彼女の頬に手を当てて顔を覗き込む。
月明かりに照らされた彼女は美しく。ただ美しく。
月明かりの下ではじめての口づけを交わした。
読み取れない表情と
口づけを求める仕草と
僕の胸に顔を埋める君がとても愛おしい。
やわらかくて
あたたかい
はじめての口づけ。
素敵な君。
頭が痺れるような素敵な時間。
月が雲に隠れた頃に、
行く場所もない僕たちはお別れした。
暗がりの中に消えていく彼女を見ながら、
また会えるのかと不安になりながら、
最初で最後になるのかもしれない哀しい予感は、
心の中にしまう。
きっと彼女も同じような事を考えているような気がして。
揺れる心
さざめく心
まぼろしのような満月の夜
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