就労支援の現場からー「Kさんが戻ってきた」



ずっと事業所を欠勤していたKさんが二日にわたる説得により出勤してくれた。

約一月前に話をした際には、取りつく島もない様子で聞く耳すら持って頂けなかった。誰にも縛られずに生活する開放感を満喫していただろうし、経済的な困窮はいよいよ身動きがとれなくなるまでは気がつかないのかも知れない。

本人による欠勤の理由は以前より散発的に主張してきた通り経済的な切迫感に加えて、これまでの経緯から身内との間で信頼関係が全く無い事に起因する。

親族には親族の、そして、KさんにはKさんの腹に据えかねる思いがある。生活を支援する立場として、または、就労を支援する立場として、どこまで関与すれば良いのか線引きは曖昧で難しい。

ただ、一つ言える事は、仕事に来れなくなった自分をKさん自身はKさんなりに心苦しく思っており、ただサボりたいからサボっていると言うわけではないということだ。

心苦しく思う気持ちが強すぎるがあまり心のどこかで防衛反応が働き、結果としてその目の前にある問題から目を逸らす逃避行動へ繋がるのでは無いだろうか。

大人としてはしてはいけない無責任な行動であるが、だからこそ障害者年金を受給し福祉サービスを利用している状況にあるのだということを忘れてはいけない。

彼のような利用者に寄り添う我々はもちろんのこと、彼と血を分ける親族にも、この彼は障害を持ち、本人の望む望まずに関わらず様々なインシデントが起こりうるのだと達観する必要がある。

同じ土俵で議論していてもわかり会うことはないのだ。ただ、本人が一番苦しんでいるのだと言うことは忘れてはならない。

統合失調症を患う者の周りは概ね同じような問題を抱えている。

とにかくKさんが再び絶望し就労の意欲を無くさないように如何に導くの事ができるのか。我々の手腕が試されている。
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